付録3 訳者の好きなフレーズなど
この本の中で、訳者が好きな(おもしろいと思った)フレーズなどをご紹介
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とはいえ、頭の配線がまったく違っている人もい ます。そして、皆さんもそのひとりかもしれませ ん。それはそれでよいのであって、私のものも含めてどんなアドバイスであろうと盲従すべきではないのです。代わりに、偏見のない広い心でこの本を読んでください。私の提案を試してみて、なにが自分にとって効果的かを見定めてください。
→うさんくさいことを言う人はだいたい「これが絶対正しい」といいますが、そういう人の多くは自分しか正しくないと主張します。しかし、人は皆違うのです。自分に合っていたことが人に合っているとは限りません。最終的には自分が自分で判断しなければいけないのです。 - 23ページ下から2行目
技能レベルの引き上げに役立つ一番の方法は、中級者の周囲に優れたお手本を配置することです。人は自然と別の人のまねをします。具体例を見ることで学んでいくのです。子供がいる人なら、親の「言うこと」はめったに聞かない子供でも、親の「やること」はいつもまねをしていることにお気づきではありませんか?
→まったく同感ですな〜。 - 51ページ5行目
「しかし、直感をはじめとする、多くのきわめて有効な思考プロセスは、合理的でも、理性的でもないのです。それでよいのです。結婚している人なら、それが理性的な決断であったか思い起こしてみてください。良い点と悪い点をリストにしたり、意思決定木を作ったりして、論理的で合理的な方法で決断しましたか? そんな人はまずいないでしょう。何もおかしいことではありません。思考過程が合理的でなくて二度と同じにならないからといって、非科学的で無責任で不適切だということには決してならないのです。」
→笑えた。結局のところ、できるだけランダムでバラエティに富んだ子孫が生まれた方が、生物として子孫が生き延びる可能性は高くなるのでしょうね。全人類が理性的な結婚ばかりしていては、同じような人が再生産される可能性が高くなってしまって、人類の滅亡は早まることになるのでしょう。というか、衝動に駆られて子孫を残すヒトが多かったからこそ、ヒトはここまで生き延びてきたのかも。 - 174ページ9行目
「何かを学ぶのにもっとも簡単、かつ効果的な方法は、人に教えてみることです。」
→"Teaching is learning"。翻訳講座で人に教えてみると、自分がどんなことをやっているかが客観的に分析でき、とても勉強になります。本を翻訳するのは、日本人の読者の皆さんにその本の内容を教えているような面もあるわけです。ハイ。
- 190ページ1行目
「言葉が介入する余地のない技能を、頻繁なフィードバックの反復と短いフィードバックギャップ(実際の行動とその行動についてのフィードバックを得る時間差)から、言葉の介入を許さずに学び取るわけです。」
→技術(とくにスポーツや楽器の演奏など)を学ぶ(教える)際に、言葉で説明せずに、よく見ることによって学ぶという方法が紹介されています。以前から見ることが大切だと思っていたのですが、小学生にサッカーを教えるときに試してみたら効果絶大でした。言葉で説明しなくても、「よく見ててご覧。上手な子の足がボールのどこに当たっているかよ〜く見ててご覧」というだけで、多くの子供たちがしっかりと蹴れるようになります。お試しあれ。 - 199ページ9行目
「認識の多くは予測に基づいており、予測はコンテキストと過去の経験に基づいているため、リアルタイムの入力は二次的な地位を占めることになります。友達が突然大変身したことはありませんか。あご髭を伸ばしたり、逆に剃り落としたり、髪型や髪の色を変えたりしていたので、すぐに友達とは気づかなかったことはありませんか。あるいはしばらく経っても気づかなかったとか。
妻が髪型を変えても夫が気づかないというのは、よくある話です。夫はかつての入力情報に基づいて妻を見ています。脳はこんな具合に働いてしまうのです(だからといって、これが髪型の変化に気づかなかった言いわけになるわけではありませんが)」
→これもありますね。そう思いこんでしまうのですよね。カミさんの髪型はいつも同じものだと。 - 200ページ2行目
伝説的なジャズギタリストのパット・メセニーは(中略)次のようなアドバイスをしています。「所属するどのバンドでも、常に一番下手なメンバーでいなさい。一番上手くなったら違うバンドに移らなければいけない。この考えは世の中のほとんどすべてのことに当てはまると思う」。
→上手な人に囲まれていると自然に自分も上手になるというお話。ただ、なかなかそうも行かないと思うので、自分が一番上手になってしまった場合には、上にあげた「何かを学ぶのにもっとも簡単、かつ効果的な方法は、人に教えてみることです。」を実践してはいかがかと思います。人に教えることでいろいろと気づくこともあり、それが自分の技術の向上にもつながるのです。自分より技量の劣る人に教えることによって、自分の技量もアップするというわけです。教える人もいないという場合はどうしたらよいでしょうか? その場合は174ページに書いてあるように「アヒル」に教えましょう(昔、私の大学の友人が「招き猫デバッガ」という話をしてくれました。バグ(プログラムに潜む論理的な間違い)がなかなかなくならないとき、招き猫を自分の前に置いて、その招き猫に向かってプログラムの流れを説明します。すると自分でどこにバグがあるか気が付くというわけです)。