各章の内容紹介
1章 人はどう見るのか
脳の約半分は目から入ってくる情報の処理を担当していると言われています。人は目が物理的に受理する情報をそのまま見ているわけではありません。目が受理したイメージが脳に伝達されると脳がさまざまな処理をし、その結果を「見て」いるのです。さて、どのような処理をしているのでしょうか。
2章 人はどう読むのか
本や雑誌などを「読むこと」は現代人にとって情報伝達の主たる手段となっています。しかもインターネットが広まってから、人が「読む」情報の量は爆発的に増大しました。しかし「読むこと」と「理解すること」は同じではありません。ウェブページなどで自分の伝えたいことをきちんと理解してもらうためにはどうしたらよいでしょうか。
3章 人はどう記憶するのか
人間のもつ「記憶容量」は無限ではありません。一度に覚えられる量にも、覚えられる期間にも、その正確さにも限界があります。ただ、こうした限界があることは必ずしも悪いことばかりではないのです。この章では人間の記憶の特性、特に不確かさと複雑さについて解説します。
4章 人はどう考えるのか
脳には膨大な数の神経細胞があり、人間はこれを使って実に多様な処理を行っています。人が「考える」とき、脳の中では一体何が起こっているのでしょうか。人がどう考えるかを理解することは、利用しやすいシステムやサイトを設計しようとする際には非常に重要です。目に錯覚があるように、思考にも錯覚があります。この章では外界の状況を把握するため脳が無意識のうちに行うさまざまな処理を紹介します。
5章 人はどう注目するのか
人を注目させる要因にはどのようなものがあるでしょうか。人はどのようにして、ほかの人の注意を引き、その後も相手の気を逸らさないようにしているでしょうか。私たちが何かに注意を払う払わないの違いは、どのようにして生じているのでしょうか。
6章 人はどうすればヤル気になるのか
これまで人にヤル気を起こさせることが実証済みとされていた方法にも、効果のないものがあることが最新の研究で明らかにされつつあります。何が人をヤル気にさせるのか、どういった状況になれば人はよりヤル気になるのか、最新の研究結果を見てみましょう。
7章 人は社会的な動物である
人にとって社会性は、普段考えている以上に重要な要素です。人は社会生活のためなら身の回りのものを何でも利用します。もちろんハイテク製品やネットのサービスなども例外ではありません。この章ではこうした人と人との社会的なやり取りの背景について、科学的に分析をしていきます。
8章 人はどう感じるのか
人は考える動物です。しかしいつも論理的な考えに基づいて意識的に行動するわけではありません。むしろ、感情的、感覚的な行動、無意識の行動のほうが多いのです。人はどのように感じ、それが最終的な行動にどう影響しているのでしょうか。
9章 間違えない人はいない
人は過ちを犯すものです。人為的なミスの影響を受けないシステムを構築しようとしても、それは不可能です。また、すべての間違いが悪いとはかぎりません。この章では人間が犯す間違い(ヒューマンエラー)の原因、種類、対処法を見ていきます。
10章 人はどう決断するのか
人がある行動を起こそうと決断するプロセスは、一般に考えられているほど単純なものではありません。人の決断には無意識が想像以上に深くかかわっていることが明らかになってきました。この章では、人がどう決断するかを分析していきます。
本の目次
デザインの心理学(まえがき)
1章 人はどう見るのか
001 目が受け取る情報と脳が私たちに伝える情報は微妙に違う 002 対象の「あらまし」をつかむのは中心視野より周辺視野の役目 003 人はパターン認識で物を識別する 004 顔認識専門の脳領域がある 005 物はやや上から斜めに見た形で思い浮かべる 006 人は過去の経験と予想に基づいて画面を見る 007 人は手がかりを探す 008 人は視野の中の変化を見逃すことがある 009 人は近くにあるものを同じグループだと思う 010 赤と青を一緒に使うと目への刺激が強すぎる 011 男性の9%、女性の0.5%が色覚異常 012 文化によって色の意味が変わる
2章 人はどう読むのか
013 大文字がもともと読みにくいものであるという説は誤りである 014 読むことと理解することは同じではない 015 パターン認識のおかげでフォントが異なっても同じ文字だと認識できる 016 文字の大きさは理解度を左右する 017 コンピュータの画面上のものは紙に書かれたものより読みにくい 018 長い行のほうが速く読めるが一般には短い行のほうが好まれる
3章 人はどう記憶するのか
019 ワーキングメモリの限界 020 一度に覚えられるのは4つだけ 021 情報を覚えておくには使うことが必要 022 情報は思い出すより認識するほうが簡単 023 記憶は知的資源を大量に消費する 024 記憶は思い出すたびに再構築される 025 忘れるのはよいこと 026 鮮明な記憶でも間違っていることがある
4章 人はどう考えるのか
027 情報は少ないほどきちんと処理される 028 心的な処理には難しいものとやさしいものがある 029 人は30%の時間はぼんやりしている 030 自信がない人ほど自分の考えを主張する 031 人はシステムを使うときメンタルモデルを作る 032 人は概念モデルとやり取りをする 033 人は物語を使って情報をうまく処理する 034 人は例を使ってうまく学ぶ 035 人は分類せずにはいられない 036 時間は相対的である 037 クリエイティブになるための4つの方法 038 人は「フロー状態」に入る 039 文化は考え方に影響する
5章 人はどう注目するのか
040 注意力は選択的に働く 041 情報は取捨選択される 042 熟練の技は無意識に駆使できる 043 ある事態に対する注意力は、頻発が予想されるか否かで決まる 044 注意力の持続時間は10分が限度である 045 人は「顕著な手がかり」にしか注目しない 046 マルチタスクは事実上不可能 047 危険、食べ物、セックス、動き、人の顔、ストーリーは注意を引きやすい 048 大きな音には驚いて注目する 049 何かに注意を向けるにはまずそれを知覚する必要がある
6章 人はどうすればヤル気になるのか
050 目標に近づくほど「ヤル気」が出る 051 報酬に変化があるほうが強力 052 ドーパミンが情報探索中毒を招く 053 人は予測ができないと探索を続ける 054 「内的報酬」のほうが「外的報酬」よりもヤル気が出る 055 進歩や熟達によりヤル気が出る 056 欲しいものが我慢できるかどうかは幼少期に決まる 057 人は本来怠惰な生き物である 058 近道は簡単に見つかるときしかしない 059 人の行動は「性格だ」と判断されがちである 060 習慣は長い時間をかけ徐々に形成される 061 競争意欲はライバルが少ないときに増す 062 人は自律性をモチベーションにして行動する
7章 人は社会的な動物である
063 「強い絆」を有する集団の規模の上限は150人 064 人には生来模倣と共感の能力が備わっている 065 「同じ釜の飯を食った仲間」の絆は強い 066 オンラインでの交流においては社会的なルールの遵守を期待する 067 嘘の度合いは伝達手段によって変わる 068 話し手の脳と聞き手の脳は同期する 069 脳は親しい人には特別な反応を示す 070 笑いは絆を生む 071 笑顔の真偽は動画のほうが判別しやすい
8章 人はどう感じるのか
072 7つの基本的な感情は万国共通 073 感情と筋肉の動きは深く結びついている 074 データより物語のほうが説得力がある 075 匂いは感情や記憶を呼び起こす 076 人は思いがけないことを楽しむようプログラムされている 077 人は忙しいほうが満足を感じる 078 牧歌的な風景を見ると幸せな気分になる 079 人はまず「見た目」と「感じ」で信用するか否かを決める 080 大好きな音楽でドーパミンが放出 081 達成が難しいことほど愛着を感じる 082 将来の出来事に対する自分の反応を大げさに予測する傾向 083 出来事の最中よりその前後のほうが前向き 084 悲しみや不安を感じているときは馴染みのものがありがたい
9章 間違えない人はいない
085 人間にノーミスはあり得ないし問題ゼロの製品も存在しない 086 ストレスを感じているときには間違いを犯しやすい 087 エラーはすべてが悪いとはかぎらない 088 エラーのタイプは予測できる 089 エラーの対処法はさまざま
10章 人はどう決断するのか
090 無意識のレベルでの決断 091 まず無意識が気づく 092 人は自分の処理能力を超えた数の選択肢や情報を欲しがる 093 選択肢が多いほうが思いどおりになっていると感じる 094 「お金」より「時間」 095 意思決定には気分も影響 096 グループによる意思決定は必ずしも的確ではない 097 人は支配的な人物に影響される 098 確信がないときは人まかせにする 099 他人は自分より影響を受けやすいと考える 100 目の前にある品物のほうが高値に