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マーリンアームズ株式会社

機械翻訳 しっかり入門

付録2 機械翻訳関連用語集(随時追加・改訂)

システム辞書(基本辞書)
翻訳ソフトが標準で持つ辞書。この内容は通常改編できない。基本辞書とも呼ばれる。
ユーザ辞書
翻訳ソフトの利用者,あるいは利用者の属する組織,部署などで単語を登録して作成する辞書。翻訳ソフトによって登録できる品詞や訳語の指定方法の柔軟さなどが大部異なるので,翻訳者にとっては,どのような辞書登録ができるかは,重要度の高いチェックポイントである。
学習辞書
ワープロ(仮名漢字変換プログラム)の学習機能と同じように,以前に選択した訳語を優先して出力するための辞書。なお,学習情報をおぼえておくのには,必ずしも「辞書」である必要はない。
訳語選択
ある単語に対応する訳語が複数ある時に,利用者が好みの訳語を選択できる機能。原文あるいは訳文の該当する単語をダブルクリックなどで指定するだけで訳語のリストが表示され,選択できる。
原文のまま指定
とくにIT関連の用語など,(たとえば日本語に)翻訳せずに原文(たとえば英語)の単語のままにしておいた方がよい場合がある。このような単語に対して,「原文のまま指定」を行うと,翻訳されないようにできる。なお,この名称は必ずしも一般的ではない。ある単語を一度「原文のまま指定」すれば,それ以降の同じ単語は原文のままになるという機能があってしかるべきだと思うが,そういうソフトはまだないようである(ここに書いてしまったので特許は取れないが,こんな小さな機能で特許を取るのは世のためではなかろう。2004年3月28日)
フレーズ指定
機械翻訳ソフトが構文の構造を誤って解釈した場合に,利用者がまとまり(句や節)の範囲(切れ目)を指定することにより,正しい解釈を導くようにできる機能。フレーズ指定をしても,正しい解釈が得られない場合もあるので万能ではない。しかし,通常,まとまりを数多く指定していけば,正しい解釈に近づいていくことができる。翻訳者でない人は使わないことが多いので(そもそも,英文の構造をきちんと把握できる人でないとフレーズ指定はできない)この機能をもたない翻訳ソフトも多いが,翻訳者にとっては欠かせない機能である。句や節の種類(たとえば,動詞句であるとか,名詞句であるとか)を指定できる場合もある。ここまで来ると,かなり便利である。正しい訳に近づけば,修正しなければならない文字列もかなり少なくできるので,訳文を作るのにかかる時間が節約できる。
対訳辞書
一般的な翻訳システムで用いられる辞書。英→日のシステムならば,英単語に関して対応する日本語の単語などが書いてある。通常「辞書」というとこれを指す。ソース言語辞書,ターゲット言語辞書も参照。
ソース言語辞書
ソース言語に関する記述をした辞書。翻訳者が翻訳をするときは,「対訳辞書」だけでなく,ソース言語やターゲット言語内部の知識を利用しているので,機械翻訳においても同様の知識を(より積極的に)利用すべきであるとの考えから,対訳辞書とはべつに「ソース言語辞書」と「ターゲット言語辞書」を導入すべきというのがの主張。
ターゲット言語辞書
ターゲット言語に関する記述をした辞書。翻訳者が翻訳をするときは,「対訳辞書」だけでなく,ソース言語やターゲット言語内部の知識を利用しているので,機械翻訳においても同様の知識を(より積極的に)利用すべきであるとの考えから,対訳辞書とはべつに「ソース言語辞書」と「ターゲット言語辞書」を導入すべきというのがの主張。
ソース言語
翻訳元の言語。英→日システムなら,英語。「原言語」「翻訳元言語」などとも言うが,「ソース言語」が一番明快かと思う。カタカナ語はあまり使いたくないのだけれど。
ターゲット言語
翻訳先の言語。英→日システムなら,日本語。「目的言語」「翻訳後言語」などとも言うが,「ターゲット言語」が一番明快かと思う。カタカナ語はあまり使いたくないのだけれど。
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