Graphic Jam
- 抽象概念を絵にして共有するゲーム 英語版
- プレイヤーの数: 5~15人
- 所要時間: 30分~1時間
- 本のページ: p. 95
目的
言葉は具体性が低くなればなるほど、視覚的に表すのが難しくなります。たとえば「コン ピュータ」や「ネクタイ」といった言葉はすぐにイメージが湧きますが、「戦略」や「公正」といった言葉はより抽象的で、より広範な視覚的解釈が可能です。グラフィックジャムは汎用性のある視覚表現ゲームで、ほかのゲームの前にウォーミングアップとして行うこともできますが、単独で行っても効果的です。抽象概念の視覚的表現は、ロゴの制作やプレゼンテーションの企画、eラーニング用の比喩表現の開発などに役立ちます。知覚に関する処理全体の3/4を担当するといわれる大脳皮質視覚野を鍛え、日常のビジネスシーンではあまり使われない脳の部分を活性化してくれます。なぜこういったことが重要なのでしょうか。ビジネスは日を追うごとに複雑になっているからです。想像力を使って問題をとらえ、説明する能力、そしてその解決策を示す能力は今後ますます重要なスキルとして認識されるようになるでしょう。
進め方
- 大きくて平たく、何も書かれていない掲示スペースを用意しておきます。付箋と情報カードを参加者に渡します。
- 参加者は1~2分間で「品質」や「チームワーク」のように絵に描いて表現するのが難しい言葉を情報カードに書きます。カード1枚につきひとつの語句を書きます。
- カードを回収し、切ってから1枚引き、読み上げます。そのカードを掲示スペースに貼ります。
- 参加者はその言葉について考え、それを表す絵を付箋に描きます。これは2~3分で行います。
- 参加者は掲示されている情報カードの下に、自分が絵を描いた付箋を貼ります。
- 3から5の手順を繰り返し、すべての(あるいはほとんどの)カードが読み上げられてしまうまで続けます。すでに出たものと同じ意味の語句が書かれたカードを引いてしまった場合は、新しい語句が出るまで引き直します。
- ゲームが終わるころには、抽象概念を視覚的に表現した「ギャラリー」ができています。他の参加者がどのように解釈したのか、見る時間を取ります。
- 付箋の絵を示しながら、その絵にはどんな意味があるのか、描いた人はその絵を言葉とどう結びつけたかといった質問を投げかけ、ディスカッションを行います。可視化が比較的容易だったのはどの言葉か、それはなぜかについても話してもらいます。最後に、視覚表現のスキルが日常生活や仕事にどう応用できるかという質問もします。
戦略
このゲームで参加者から出される言葉は、きわめて抽象的なものである可能性が高いでしょう。ゲームの所要時間は、参加者の数と、参加者がカードに書いた言葉の数、そしてその言葉のもつ概念の複雑さによって決まります。このゲームにどれくらいの時間を使うか、慎重な判断が必要です。ゲームを終わりにする前に、どうしても視覚的に表してみたい概念がないか参加者に尋ねます。あれば、もう2、3分使って、その言葉に取り組んでもらいます。ゲームが終わったら、アイディアやイメージを思いついたときの様子(その過程や用いたワザ)について参加者に話し合ってもらいます。
ひとつ留意点があります。このゲームのペースは、語句の概念を絵で表現するための時間を短く設定することによって速められます。各語句につき30秒間のみで強制的に次の語句へ移るようにすると、全体のエネルギーレベルが上がるのを実感できるでしょう。別に競争ではないのですが、そうであるかのように皆が反応するのです。最良の(少なくともとても愉快な)結果が得られるのは制限時間を30秒にしたときです。
「Graphic Jam(グラフィックジャム)」はInternational Forum of Visual Practitionersの共同創設者であるレスリー・サーモン=ジューの作った同名のゲームからヒントを得たものです。